スリランカ生まれで父は英国籍、母は日本国籍。「二重国籍の子供は二十二歳時にどちらかを選択しなければならない」という法律に基づき日本国籍となった水谷麻里子さんが、丹波市で開かれた人権講演会で、「混血」として好奇の目で見られ続けてきた体験を語った。▼国籍法では以前は、父親が日本人の子供にのみ日本国籍が認められていたが、一九八五年の改正により、両親のどちらが外国籍の場合でも、子供の間のみ二重国籍が認められるようになった。▼今この問題で悩む一人が、日本ハムのダルビッシュ選手。来年の北京五輪の開催中に二十二歳になるため、父のイラン国籍を選択する場合には日本代表を断念しなければならず、さりとて父の国をきっぱり振り切ることもできないでいるという。▼二重国籍は「保護のみ両国に求め、兵役などの義務では他方の国に逃れる者が出る」、「二つのパスポートを持つと犯罪に結びつきやすい」「両国が戦争になった場合にどうするか」など様々な理由で認められていないようだが、欧米の先進国では近年認める潮流にある。▼矛盾や弊害を未然に解消する仕組み、制度作りは確かに必要だが、二つの祖国を持つ人は、両国の友好に大いに貢献できるはず。要は、プラス思考かマイナス思考か、どちらを選択するかの問題のように思える。(E)