安定ヨウ素剤、期限切れても70%が更新 国指針外で独自に事前配布 市「一定の成果得た」

2019.07.29
ニュース丹波篠山市地域

安定ヨウ素剤の配布状況などについ議論した委員会=兵庫県丹波篠山市北新町で

2015年度から、原発事故の際に甲状腺の内部被ばくを防ぐ「安定ヨウ素剤」の事前配布事業に取り組んでいる兵庫県丹波篠山市はこのほど、同市役所で「市原子力災害対策検討委員会」を開いた。昨年度は15年度に配布した丸剤の使用期限を迎えたため、初めて更新を行ったことや、今年度の実施状況などが報告された。

委員会は市民や医師、ジャーナリストなどで構成している。

福島原発事故や、県の放射能拡散シミュレーションで、約50キロ圏にある福井県内の原発で事故が起きた際に高線量となると予測された同市。国の指針に該当しないエリアの自治体として、全国で初めて独自予算による安定ヨウ素剤の事前配布を行っている。

これまでの安定ヨウ素剤は使用期限が3年のため、昨年度は初年度に配布した人のうち、1万1357人が更新対象に。うち8057人が更新し、更新率は70・9%となった。

更新対象者にはダイレクトメールを発送するなどした市担当課は、「一定の成果を得ることができた」とした。新規に受領した人は741人だった。

また、17年度から配布している3歳未満を対象にしたゼリー状の安定ヨウ素剤については、昨年度169人が受領。これまでの累計で対象者845人中353人が受領し、受領率は41・8%となっている。

今年度も6月から市内6会場での配布を行っており、残すは8月4日のハートピアセンター(同市細工所)のみとなっている。これまでの5会場では1291人が受領している。

また、安定ヨウ素剤の丸剤について、新製品の使用期限が3年から5年に変わったため、今年度からは新製品を配布している。

そのため、世帯内で更新時期にずれが生じた場合、市は新丸剤を世帯の一人が受け取った際に家族の旧丸剤を返却してもらい、新丸剤で統一できるようにする。返却された旧剤の使用期限が残っている場合は備蓄用に回す。

ほかに啓発事業としてドキュメンタリー映画の上映会や講演会などが委員から提案された。

委員からは、「丹波篠山市は本当によくやっている。全国的に見てもほかに例がない」と評価する声が上がっていた。

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