復興願った風船「心つなぐ」 風に乗って隣町へ 偶然と縁重なり「交流」生まれる

2019.08.29
ニュース丹波市地域

風船が縁となり、対面を果たした高田和美さんと由良英士君=2019年8月20日午後6時13分、兵庫県丹波市市島町上田で

風船が「心 つなぐ」―。2014年8月の豪雨災害で甚大な被害が発生した兵庫県丹波市市島町。災害から5年が経過し、今月18日に開かれた同市豪雨災害復興5年イベント「和一処(わっしょい)」の中で、同町の三ツ塚史跡公園芝生広場で復興を願って飛ばされた風船が、約1時間半後、直線距離にして11キロの同市柏原町で見つかった。2日後、偶然や縁が重なり、風船を飛ばした子どもと、発見者の親族が対面して交流を深めるまでに発展。一つの風船が風に乗り、市豪雨災害復興の合言葉「心 つなぐ」を表現したような心温まる話に、関係者は喜んでいる。

「和一処」内の催し「それでもこの町がいい きっとこれからも」(うちの花は赤いプロジェクト実行委員会主催)での風船飛ばし企画。来場者が約800個を飛ばした。

その中の一人が由良英士(あやと)君(5)。英士君は、ハート形のメッセージカードに「あやと」と名前を書いてもらい、裏面に大好きな恐竜「ティラノサウルス」の口の部分と、「ティラノ」の文字を書いた。このカードをピンク色と青色の風船にくくられた「ひも」に結び付け、午後4時半ごろに大空に向かって放った。

その約1時間半後、柏原町柏原の休耕田に、2つの風船が落ちているのを近くに住む親子が発見。自宅に持ち帰り、同じ家に住む和美さん(70)に手渡した。風船に結び付けられていたメッセージカードに「あやと」の名などが書かれており、和美さんは「何の風船だろうと思った。その日、市島町でイベントが行われていることも知りませんでした」と語る。

風船には「丹波市」などとプリントされていたことから、和美さんは翌日、市柏原支所に問い合わせたところ、前日に市島町であった復興イベントで飛ばされたものではないかとの返答を受けた。その後、柏原支所から市島支所の復興推進室に連絡が入り、詳細が伝わったところ、「あやと」君は、復興推進室に勤務する由良愛佳さん(21)の弟・英士君であることが判明した。

20日、復興推進室の計らいで、市島支所で英士君と和美さんが対面。風船とメッセージカードを確認し合った。英士君は「風船とカードを部屋に飾っておく」と笑顔。和美さんは「風船が縁になり、こんなかわいい子に出会えてうれしい」と感激していた。

対面式には「うちの花は―」実行委員長の荻野充さん(66)や、風船飛ばしを企画した実行委員の山本篤史さん(40)も同席。「『心 つなぐ』が復興の合言葉。最後に素晴らしいつながりができた」などとほほ笑んでいた。

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