兵庫県丹波篠山市議会で問題になった「息子の結婚式出席」を理由とする委員会欠席―。事前に公務が決まっている中で、後から決まった家族のお祝い事を優先したことで「無断欠席」扱いされた。議員本人が市民の負託を受けた立場をどう考えるのか、また欠席届を受け付ける議長、委員長がどう判断するのか、それぞれが問われている。兵庫県内の市議会や県議会は、規則をどのように運用しているのか取材した。
問題は、今月2日に開かれた同市議会予算決算委員会の分科会で、議員が息子の結婚式を理由に欠席届を提出したところ、規則に定める欠席理由に当たらないとして不受理となり、欠席した議員は「無断欠席」扱いになった。
同市議会の規則では欠席できる理由を「事故」「出産」としており、事故は本人の車での事故や身内の葬儀など突発的に発生するものとする。今回の場合、事前に日程がわかる結婚式は「事故」には当たらないと判断されたほか、欠席届の提出が、委員会のおよそ2週間前だったことも問題視された。
同県丹波市の場合、審査日程は、議員が調整して決めている。突発的に発生する「葬祭」と違い、「冠婚」は通常、前もって予定がわかることから、当該日を外して日程を組む。
昨年、家族の海外挙式に参加した議員は、前々からその旨を事務局に伝え、公務に支障が出ないよう日程調整をした上で渡航した。
そのため、同市議会事務局によると、丹波篠山市議会の問題は、「想定外のケース」という。今回と同様に欠席届が出された場合、受け付けるかどうかは、「議長、委員長の判断による」とする。今回の件を受け、会派代表者会議などで、欠席の考え方について議員間ですり合わせをしてもらいたいと考えているという。
県内全市の会議規則にはそろって冠婚葬祭の定めがなく、ほとんどの市議会が、全国市議会議長会(東京都)が示す「標準会則」通りの「事故」「出産」のみを欠席理由として記載しており、「事故」を弾力的に運用することで、冠婚葬祭を包含している。
2015年に見直した丹波市議会の規則は、「疾病、出産、災害その他正当な理由により出席できない時」としており、「その他正当な理由」を設けることで冠婚葬祭、特に葬儀をカバーする運用を行っている。
昨年度、都道府県議会で初めて「育児」を欠席理由に明記する会則を定めた兵庫県議会は、「家族の葬儀」と明記している。それでも、「何親等」などと規定はなく、議員に任せているという。
県議会は、明文化してはいなかったが、育児理由での欠席も「その他の事故」で弾力的運用をはかってきた。
林時彦・丹波市議会議長は「提出された欠席届をダメだとは言いにくい。公人である議員は、公務を最優先すべきだが、本人の判断。あとは有権者の審判。1年に1回でも、出席状況を議会広報に掲載してはとも思っている」と言う。
全国市議会議長会事務局は、「規則の『事故』の単語の定義はない。何を事故とするのかは、それぞれの議会の判断」と話している。