土俵入り

2007.06.07
丹波春秋

 新横綱白鵬が土俵入りを披露した。久々の「不知火」型である。朝青龍の「雲竜」型のように、せり上がる時、片方の手を脇腹に当て他方を横に開くのでなく、両腕を大きく広げてそのまま上方に伸ばす。▼筆者が小学生の頃、立浪部屋の羽黒山が力強く演じ、次にこれを継いだのが同じ立浪一門の吉葉山(後に宮城野親方)だった。戦後随一とも言える美男力士で、その優美さは子供心にも惚れ惚れさせた。ただ、彼は苦労して横綱になったものの、その後は病気がちでぱっとせず、昇進時の1回限りの優勝に終わってしまった。▼立浪勢に目立つ不知火型は、腰に力を入れなければならないので難しいと言われ、採用例は少ない。また、1年ちょっとで角界を去った双羽黒ほか、何故か短命横綱がほとんど。栃錦、若乃花(初代)、大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花といった歴代の強い横綱は例外なく雲竜型だ。▼宮城野部屋の白鵬も迷ったそうだが、「やはり吉葉山にならって」と、決めたという。何かと対比される朝青龍と両型が揃うのは興味深い。是非ジンクスを破って、朝青龍を上回る成績を残してほしい。▼「横綱に求められるのは、品格」。横綱審議会で敢えてそういう注文がつけられる事態は、嘆かわしい。「精神一到」と口上を述べた白鵬への期待は、星争いにも増して高まる。  (E)

関連記事