医療フォーラム

2007.06.22
丹波春秋

 「医師採用の際、民間病院は院長や副院長、看護部長の3人がかりで面接し、『是非来て下さい』と握手を求めるのに対し、自治体病院は院長が履歴書をその場で初めて見たように応対し、一存では決められないので握手はしない」▼医療フォーラム「病院は生き残れるか」の伊関氏の講演の中で、強く印象に残った話。当事者から実際に聞いたという。医師不足に切羽詰まった現在でも依然そうなのかは知らないが、象徴的な話のように思える。▼氏は「民間が良くて公立は悪いと言いたいわけでは決してない」という。コムスンやNOVAの感覚で病院経営をされたら、大変だ。ただ、一般に「公立の経営責任者は素人の場合が多いし、数年で替わる。どうしても現場より官房(本庁の財政や人事部局)の方に目が行き、前例にとらわれない改革を断行するのは不得手」という指摘はうなずける。▼柏原病院の場合、12の県立病院のうちの1つである以上、ここだけ特別に資金や人材を投じることは難しいのも確かだ。「丹波市の医療関係者が中心となって医療振興財団などを作り、運営を受託するのも一案。他所での事例もある」と同氏は言う。▼それが最善の案なのかどうかはともかく、袋小路に陥ったような現状打開のために、様々な方策を議論し、速やかに実行に移すことが今こそ必要だ。(E)

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