足利氏ゆかりの寺修復 昨年の台風で被害 明智光秀に焼き打ちの過去も

2019.11.07
ニュース丹波市明智光秀と丹波地域歴史

修復が完了し、開眼法要が営まれた石龕寺本堂=2019年11月3日午前10時42分、兵庫県丹波市山南町岩屋で

昨年8月の台風20号により、境内の大木が折れて本堂を直撃し、屋根などが大きく破損した兵庫県丹波市山南町の石龕寺(堀井隆洋住職)の修復が完了し、このほど同寺で開眼法要が営まれた。同寺は足利氏ゆかりの寺で、法要には檀家ら30人ほどが集い、修復を喜んだ。

南北朝時代、足利尊氏は弟・直義との争い「観応の擾乱」で一時的に敗れ、京都から逃げる際に嫡男・義詮を同寺に滞在させた。

戦国時代には織田信長の命を受けた明智光秀が「丹波攻め」を敢行。同寺にも火の手が上がり、そのほとんどが焼失したとされる。なお、山門にある「金剛力士像」は、国の重要文化財に指定されている。

台風により、同寺の御神木で、同県の郷土記念物「コウヨウザン」の枝が折れ、本堂屋根を突き破った。堂内は風雨にさらされ、仏具などもひどく損傷。折れた枝は長さ約10メートル、直径が約60センチあった。

檀家の浄財で修復。唐破風部分や屋根の一部、仏具などを直し、建具や畳を新調したほか、梁を支える柱を新たに設けるなどして強度を持たせた。

同寺檀徒総代の和田光平さん(72)は、「本堂が傷んだ姿を見たときは唖然とし、新築しないといけないかと思っていた。何とか今年の紅葉シーズンに間に合い、やれやれです」と語った。

堀井住職は「お堂を正面から見るとまっさらのように見える。美しく修復していただいてありがたい限り。後世に受け継いでいきたい」と話していた。

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