「丹波市内で、子どもに対する不審者の声かけ事案が、昨年と比較して減少傾向にある」と17日付の本紙(丹波市版)にあった。登下校時の見守りなどの活動が発生を抑止しているとみられる一方、活動に参加する人が減るなど、緊張感が薄れているという声が関係者から聞かれるそうだ。▼緊張感を取り戻すには、乱暴な話だが、世間を不安におとしいれるような事案が起きればいい。そうした心理が働くことを、森田ゆりさんは「危険だ」と指摘している。森田さんは、CAP(子どもへの暴力防止)プログラムを日本に紹介した人だ。▼「パトロール隊などの対策を続けることはたやすいことではない。長く続ける活力を得るためには、不安を喚起する出来事が発生し続けなければいけない。そのため、なんでもないことを不安材料に作り上げていってしまう集団心理が起きていく」▼不安を取り払うべき活動が不安を待ち望み、作り出そうとする。こんな本末転倒の罠に陥らないために、見守り活動の意味を再評価する必要がある。▼見守り活動は安全を守るためだけではない。地域住民が子どもとあいさつを交わし、おしゃべりを楽しみ、ときには叱る。かつて近所のおじさん、おばさんには存在感があった。その存在感を取り戻す一つとして見守り活動を位置づけてはどうか。(Y)