親子間の距離

2007.11.26
丹波春秋

 大型草食恐竜の第2次発掘調査が始まった。1頭分が眠っている可能性もある丹波竜。今回の調査では、骨盤や後ろ足の骨が見つかるかもしれないそうだ。ビッグニュースが届くことを期待したい。▼発掘・調査にあたっている県立人と自然の博物館の三枝春生研究員は東京の生まれで、子どものころから化石に興味があったという。小学校時代は、恐竜の化石を展示していた国立科学博物館によく一人で電車に乗って訪ねていた。▼中学に上がると、化石発掘に夢中になった。最初のころは、電車で1時間圏内だったが、次第に遠出をするようになり、群馬県や福島県へも出かけた。一人で時刻表を調べ、一人で出かける。河原でキャンプをしたこともあった。▼親は、化石発掘の小旅行に電車賃は渡すが、何も言わない。三枝さんを連れて行くこともなかった。「勝手にしたらいいという感じでした。当時の親はそんなものでしたよ」と言う。東京タワーができた58年に生まれた三枝さん。今と違い、子どもの安全をあれこれ心配することもなかったせいもあろうが、当時の親子間の距離を物語る逸話だ。▼過保護ではない。かといって放任でもない。親子間のほどよい距離。だから、子どもは一人でも行動したし、行動する力が育った。まさに「かわいい子には旅をさせよ」だ。(Y)

関連記事