暮れも押し詰まった12月27日、坪田愛華さんは12歳の命を終えた。『地球の秘密』と題したマンガを2カ月がかりで描きあげた数時間後に脳内出血で倒れたのだ。両親が本にし、同級生らに配った『地球の秘密』はその後、世界に感動の輪を広げ、英語、中国語、アラビア語にも翻訳された。▼愛華さんが亡くなってから16年。自然界の仕組みから説き起こし、オゾン層の破壊や熱帯雨林の減少などにふれ、環境を守るために何ができるかを訴えた『地球の秘密』は、環境問題の深刻化とともにますます輝きを増している。▼愛華さんは、『地球の秘密』の最後で「私ひとりぐらいという考えはやめよう」と書いた。世界中の人すべてが「私ひとりぐらい」と考えると、地球はたちどころに悲鳴をあげるからだ。▼愛華さんの両親が今年10月、大山小学校で講演し、父親の正さんは「無駄遣いをやめ、まずは家庭で徹底的に始末をすることが大切」と訴えた。「私ひとりぐらいの無駄遣い」をみんなですると、とんでもない無駄遣いになり、地球の資源を浪費してしまう。▼逆に、「徹底的な始末」をみんなですることは、地球とともに生きる道に通じる。愛華さんは『地球の秘密』の最後をこう結んでいる。「みんなで協力しあって美しい地球ができればいいです」。この訴えに謙虚に耳を傾けたい。 (Y)