正月、カザフスタンのバイコヌール基地に行き、宇宙船「ソユーズ」に乗り込んだ。ロシア、米国2人の熟練飛行士の後について緊張の中、発射は成功。▼ハッチ内に置いた人形が浮き上がり、無重力になっていくのがわかる。間もなく地球から数百キロの周回軌道に。コントロールセンターから「船内気圧に異常なし」と連絡を受け、ハッチを開けて生活空間に移動。▼窮屈な宇宙服からシャツに着替え、室内を泳ぎ回りながら、窓外を眺める。あわただしい日の出、日の入りの合間に現れる地球は実に美しい。あそこがシベリア、ここが日本列島。▼ソユーズはやがて国際宇宙ステーションにドッキング。飛行士たちはここで長期滞在していた飛行士と交代。綿密な引継ぎの後、地球への帰還カプセルに。初体験ずくめの10日間の旅行も順調に終えられそうと思った矢先…。大気圏に突入する間際、どこからか空気が漏れ始め、呼吸が苦しくなった。あわや―▼という場面で、初夢は覚めた。前夜、DVD「宇宙へ飛び出せ」(ナショナルジオグラフィック社)を見過ぎたせい。ちなみにこの旅行、22億円払えば現実にできる。宇宙のかなたの値段だが、孫が筆者の歳になる頃には、220万円くらいになっているだろうか。しかしその前に、この地球上でしなければならないことは多そうだ。 (E)