私事だが、地元の幼稚園と小学校で絵本の読み聞かせをしている。身を乗り出して聞いてくれたり、笑ってくれたりと、子どもたちの反応がうれしい。子どもを楽しませるつもりが、こちらが楽しませてもらっている。▼小学校時代の思い出だが、担任の先生が出張などで不在のとき、教室に来られた教頭先生が物語を話してくれた。そのときの光景を今でも覚えているほど楽しかった。そんな体験と同様に、読み聞かせが子どもたちの胸に刻まれ、大きくなっても忘れないでいてくれれば、これほどうれしいことはない。▼篠山市が、子どもがいつでもどこでも読書できる環境づくりをめざす読書活動推進計画の素案をまとめたという(篠山版1月17日付)。結構なことだが、子どもだけでなく、大人になってからも、いつでもどこでも読書をしたい。▼本を読む楽しさは子どもも体感できるが、じっくりと本が味わえるのは、子どもを卒業してからだと思う。自分の来し方や行く末と照らしながら、本が読めるからだ。食べ物でも、子どもの舌は甘みを好み、長じるにつれて渋みに美味を感じるように、本を味わうには相応の年輪が必要だ。▼大人こそ本に親しみたい。読み聞かせは、そんな大人に成長するための入口のひとつであり、本に親しむきっかけになればと願っている。(Y)