「C型肝炎ウイルス検査をお受けください」という政府広報を見て、唖然とした。「平成6年以前に大量出血などにより、次の所で治療された方はフィブリノゲン製剤の投与を受けた可能性があります」として掲載された医療機関は新聞サイズ8ページにぎっしり。丹波地域の名前もある。▼フィブリノゲン製剤など血液凝固因子製剤によるC型肝炎感染被害者が起こした薬害訴訟は、救済法が成立し、ようやく一応の決着がついた。国が全面的に責任を認めた証しとも言うべき広報のはずだが、法の前文に明記された被害者への謝罪は一切なく、極めて事務的な文面。▼それにしても、医師や病院の責任まで問われたわけではないが、「かくも多く出回っていたのか」と、実感させられた。製薬会社によるとフィブリノゲン製剤の投与者は29万人、感染者は1万人。しかし全体の感染者は200万人以上とも言われ、多くは輸血を通しての感染だそうだ。▼古くから危険性が知られ、米国ではとっくに製造承認を取り消していた血液製剤への対策を、長年怠るどころか、手に入った感染者リストまで放置していた。▼そして裁判所の和解勧告に際しても最後まで金を出し渋り、世論に押され実質負けた末の、この広報。しかし言わば後の祭りである。やはり、自分の身は自分で守るしかない。(E)