「村からの手紙」

2008.03.17
丹波春秋

 小橋昭彦さん(春日町)がネットの「日経ビジネスオンライン」に定期寄稿している「村からの手紙」には、気付かされることが多い。先日の「よき消費のために必要なこと」には、自宅に開いた、古農具が使える「牛舎館」の話が載っていた。▼足踏み脱穀機や唐箕(とうみ)で籾を取り、殻を飛ばすのを、わいわい言いながら楽しんだ子供たちは、脱穀機と同じ形のドラムが、最新鋭のコンバインの中に取り入れられているのを知り、「昔からの知恵はすごい」と、感想を送ってくる。▼見学に来る小学校が増えるにつれて、「こういう体験って、子供に何を与えているのだろう」と、小橋さんは考える。「そうか、子供たちは古い農具を利用する時、生産活動に携わっている」。▼「はぜかけから玄米を手にするまでを体験することで、生産と消費の間に横たわるブラックボックスをこじ開け、消費者が米屋で袋に書かれた銘柄を選ぶ以上の、より主体性のある生活者としての役割を担うことにつながっていくのでは」。▼これは、中国製の農薬混入食品事件に対して、さる高名な学者が「ただ国内産を志向しても、値が上がるばかり。輸入先を分散すればいい」と述べたのとは、対極にある考え方だろう。願わくは筆者も、日常の食べ物との間に、ただ口に入れる所から一歩でも踏み出した関わりを持ちたい。  (E)

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