10年前の今日、4月27日は篠山市にとって歴史的な1日だった。そのことをどれほどの市民が覚えているだろうか。この日、多紀郡4町合併の調印式が篠山市民会館で行われた。▼調印後の記者会見で、合併協議会長の森口武治氏は「調印に至るまで山あり谷ありの連続だった。感慨無量」と述べた。4人の町長が調印した合併協定書には、新町(市)建設計画が盛り込まれ、「活力と個性あふれるまちづくりを推進する」とうたった。▼未来に向けて船出した日から10年後の今、篠山は財政難問題に直面し、篠山再生市民会議が設けられるなど「再生」がキーワードになっている。先ごろの市議選で誕生した新しい議員の顔ぶれを見ても、議員として合併を経験した人はごく一握りしかいない。10年という月日の重さを改めて思う。▼小説家の徳富蘆花は「十年の月日は、たいてい人の浮沈を定むるもの」と言ったが、人だけではなく、地域社会も10年の間に栄えるか衰えるか、いずれかをたどるのだろう。▼合併調印翌日の28日、4町議会で合併を議決した。合併に抵抗する住民もいたなか、翌年の合併に向けハードルを越えた。それから10年、篠山は再生というハードルを前にしている。このハードルを乗り越えられるかどうかが浮沈のかぎを握る。さて10年後は―。(Y)