プロ野球たけなわ。大リーグには、イチローや松井、松坂らのいるシアトル、ニューヨーク、ボストンだけでなく、野茂が一時ながら登場したロイヤルズのカンザスシティ、岩村のレイズのタンパなどにも日本からファンが押しかけている。▼普段はあまり馴染みのない都市にも、アメリカの球団は根を張る。名門カージナルスの本拠地セントルイス、ビールで多少名の通るブリューワーズのミルウォーキーなども、都心こそ高層ビルが建っているものの、町の規模は広島や札幌に比べても一回り以上小さく感じる。▼話は野球からそれるが、以前、シカゴの友人の車に乗せられて行ったイリノイ州の州都、スプリングフィールドは、柏原か篠山くらいの小さな町で、そこに古めかしく立派な議事堂があった。▼「何故」との問いに友人の説明は明快で、「州の中央部にあるから。最北部のシカゴからでも南端からでも、同じ4時間で行ける。米国人の平等意識の所以だ」。そう言えば、ニューヨークの州都も最南部のニューヨークではなく、適度に北に上ったオルバニーという無名の町。こんな例は他にもたくさんあり、アメリカという国の懐の深さを思わせる。▼兵庫県庁も加東市の嬉野台辺りに作ればどうか。今こそ真剣に「地方分権」に取り組むべき時、決して荒唐無稽な話ではない。 (E)