はるか大昔、地球の陸地には、岩石の山々が横たわるばかりで、いっさいの生命がない死の世界だったらしい。そこへ海からはいあがってきた原始植物の根が、岩と岩のすきまに食い込み、岩と岩とをつなぎとめながら斜面をのぼり始めた。これが土の始まりだったという。▼植物の根が土になり、土ができると、次の緑がはえる。こうして少しずつ土が作られ、陸地の斜面が緑でおおわれた。やがて陸地に登場した動物たちも土を作っていった。死体やふんは土になった。土の中の小さな生物たちは、死体やふんをかみくだき、食べてはまた、土をこしらえた。▼富山和子氏の著書『森は生きている』に、「地球の土づくりの歴史には一つの法則があった」とある。その法則とは、どのような植物も動物も、みんな土づくりに参加するというもの。もちろん恐竜もそうだ。▼やがてこの法則をかえりみない者が地球上にあらわれた。人間だ。法則にそむけば、行く手には滅びが待っている。歴史が証明しているように、「土を失った文明は次々に滅んでいった」と富山氏はいう。▼恐竜と小型ほ乳類の化石を発見した足立洌さんは、「私たちは大地なくしては生きられない。私たちは本来、土の上に生まれ、死ねば土に帰るものなのです」と語っている。肝に銘じなければいけない。(Y)