「篠山層群で最古級のほ乳類化石発見」の報道で、発見者の足立洌さんが「脊椎動物は篠山市内で今まで出ていないと聞いていたので、手が震えた」と話していた(15日号)。それで思い出したのが、人と自然の博物館の岩槻邦男館長が以前、本紙「丹波人NOW」欄で話した「魚屋でヒトがタイとタコを買う時の図式」。▼多くの人は「ヒト」対「タイ・タコ」と考えるが、生物学上は「脊椎動物であるヒト・タイ」対「軟体動物であるタコ」という見方ができる。つまり、何でも人間を中心に考えず、時にそうした視点の転換が必要との趣旨だった。▼ならば「動物には『脊椎動物』と『無脊椎動物』がいる」のかというと、これまた偏った見方。フリー百科ウィキペディアによると、動物は37の「動物門」に分類でき、軟体動物門もその1つだが、脊椎動物は「脊索(せきさく)動物門」に含まれる1亜門に過ぎない。▼そして「ヒト・タイ」ほか鳥、蛇など脊椎動物の種数は動物界全体の5%未満。生物はさほどに多様性を持っているのだ。その脊椎動物の中で最も新参者のヒトが地球温暖化を引き起こし、圧倒的多数の他の生物までを存亡の危機に追いやっている。▼カエルもオケラもアメンボも皆、生きていかなければならないことを子供たちに実感してもらう、今回の発見でありたい。(E)