「終末期の西ローマ帝国は皇帝が20年間に9人代わった」と先週、本欄で書いたが、平成以来20年間の日本の首相は、福田さんまで13人を数える。「在任2カ月」が2人。5年5カ月と例外的に長い小泉さんとの3人を除いて計算すると、1人当たり1年半だ。▼大抵は「首相になる」という目的を遂げて終わり。「首相として何をするか」が何ら果たせないまま退陣に追い込まれている。誠に1年そこらでは無理な話。「政策より政局」に明け暮れるのが、日本の首相の実態である。▼知事の経験もある細川元首相の夫人が「知事の方がよほど権限がある」と述懐している(日経ビジネスオンライン)。任期が決まっておらず、意思決定は内閣の合議制。「すきあらば足元をすくおう」という政敵が与党内にもうごめいていて、余程強い信念とタフな肉体、精神を持ち合わせていないと、潰れてしまう。▼先日訪ねたスウェーデンはやはり議院内閣制だが、議員は国、県、市とも4年きっちりの任期で、常に同時選挙。政党別の完全比例方式で決まる。2つの大きな党を軸に政権交代はあるが、環境や教育の問題ではほとんど一致していて、それでこそ世界に先駆けた政策を打ち出せると感じた。▼派閥体制が崩れた今、日本もこの辺りを改革しないと、全く世界の笑い者になろう。 (E)