増える単独世帯

2008.09.22
丹波春秋

 新米の季節だ。炊きたての新米はことのほかおいしく、食が進む。米は、私たちの食生活の柱であることを改めて実感するが、昔と比べて米の消費量は著しく落ち込んでいる。1955年ごろ、日本人ひとり当たりの消費量は120?近くあったが、現在は60?ほどに半減している。▼食卓に並ぶおかずが豊かになったことが主な理由だろうが、単独世帯の増加も一因に違いない。一人暮らしの経験がある人はわかるだろうが、ご飯を炊くのは面倒なもの。朝食はパンですますか、抜いてしまうこともある。▼わが国の単独世帯の割合は55年、わずか3%だったが、今では30%ほどに増えた。晩婚化や非婚化、核家族化などの進行で単独世帯は今後、増えることはあっても減ることはなかろう。▼単独世帯の増加は、新聞業界にも影響を与えている。朝ばたばたと出社し、夜遅くに帰ってくるような単独世帯の暮らしに新聞が入り込む余地はない。たまった新聞や、おびただしいチラシの始末にも困る。パンが米の代替になるように、新聞がなくてもインターネットやテレビが代替をはたしてくれる。かくして新聞をとらない世帯が増えている。▼単独世帯の増加に象徴される家族構成の変化は、米の消費量や新聞だけでなく、ほかの分野でも影響をもたらしているに違いない。(Y)

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