NHK大河ドラマ「篤姫」が佳境に入り、江戸城の無血開城が迫ってきた。無血開城の立役者のひとりが勝海舟。その海舟の思想を端的に表した言葉として、「行蔵(こうぞう)は我に存す、毀誉(きよ)は他人の主張…」が有名だ。▼人間の運命、出処進退は自分自身にしか決せられず、他人が何と批評しようと自分には関係のないことだと言い切った。自分のことをほめたり、けなしたりする周りの見方を切り捨てた海舟。しかし、そのような大人物に小人はなかなかなれない。ついつい周りの評判が気にかかり、ときに振り回される。▼海舟はそうした小人の性向をとらえ、「今の人間は…今日のことは今日知れて、今日の人にほめられなくては承知しないという尻の穴の小さいやつばかりだ」と喝破した。有権者の気を引かんがための目先の政策を繰り出す今日の政界を斬ったような言葉で、海舟には今も学ぶことが多い。▼人を評価する尺度もそうだ。「経済が基本」と考えていた海舟は、「経済をわきまえていたかどうか」で歴史上の人物や為政者を見たらしい。▼さて現代。日本全体に暗雲がのしかかり、地方も疲弊している。わが丹波地方もしかりだ。丹波の経済に活を入れるような定見を持ったリーダーは出てくるのか。きょう丹波市長選、市議選が告示される。 (Y)