アメリカからのメール

2008.11.27
丹波春秋

 シカゴに住む大学時代の友人からのメールに「債権や株の運用でここ6年ほど6―7%ずつ利益が出ていたが、金融危機で株が半値になり、資産の4分の1が減った」とあった。周りには「リタイアしようと思っていたのに、また働かなければならなくなった」人もいるとか。▼米国では、資産を担保にして借金している人が多い。低所得者向けのサブプライムローンで破綻した人たちはその典型。待っているのはホームレスへの道だ。郊外にしょうしゃな家を持つ彼は「幸い、借金はない。そのうち株価も回復するだろう」。▼米国の合弁会社で長らく働き、1年半後に向こうの「年金標準開始年齢」に達する。来年からは国が8割負担する高齢者医療保険の適用も。大きな階層格差を抱える同国で、まあ恵まれている方だ。▼「EUの成功や中国、インドの台頭に伴って米国は世界の中心から後退していくかもしれないが、それは相対的な問題。広い土地、資源、増え続ける人口がある限り、大国であり続けるだろう」と楽観する。▼しかし、それにしても同国には問題が多すぎる。資源や人口のみならず、「こことここを変える」という条件が加わらなければ楽観は成り立ち得まい。まして、資源、人口もおぼつかない日本。今こそ「あるもの」、「変えるもの」を点検する時である。(E)

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