映画「不都合な真実」で、ゴア元副大統領が「環境技術開発に消極的な米国の自動車会社は、世界の競争に取り残されるだろう」と話していたが、今回の金融危機で3社そろって倒産への崖っ縁に立たされた。▼今夏訪ねたスウェーデンの人口8万の町、ベクショーは世界から注目される「化石燃料ゼロ」政策を進め、「10数年でCO2が32%減ったのに対しGDP(域内総生産)が50%増加。成長のために環境対策がある」と、担当者が胸を張った(本紙9月21日号)。▼さて、世界的不況に政府は27兆円の緊急経済対策を打ち出したが、目玉のはずの「全国民に1人1万2千円の給付金」の評判は芳しくない。税収減でまた国債を増発しなければならない状況なのに、大枚をはたいてこれでは処置なしだろう。▼「金をばらまけば消費が増え景気を押し上げるだろう」との発想は、いかにも貧困だ。米国のオバマ次期大統領は危機打開のために、従来おろそかだったバイオ燃料、ハイブリッド車などに国費をつぎ込む「グリーン・ニューデール」戦略を描いている。▼不況はまだまだ長引く。日本も折角金を使うなら、エコカーや家庭用太陽光発電への補助金や関連制度・施設の整備などの環境対策を急ぐべきではないか。その方が余程国民が動き、効果は得られよう。(E)