雇用の確保こそ課題

2009.01.15
丹波春秋

 国民一律の定額給付金を「高額所得者は辞退すれば」と言っていた麻生首相が、自身の受け取りは「その時考える」と言い出した。生活支援より「消費刺激の側面を重視すべきだ」という与党や閣内の声に押されたらしいが、何とも無定見な話だ。▼丹波地域でも派遣社員が300人以上契約切れになると、本紙が報じていたが、埋蔵金をひねり出してまでばらまきをするより、ここは「雇用の確保」に最大限の注力をすべきだ。経済の安定にもその方が効果的だと思う。▼そんなことを考えていたら、「山の古道」の復活整備に取り組む丹波市のNPO「丹波里山くらぶ」の野花理事長が、「失業者が増加しているが、いくらでも働き場所はある」と話している(本紙8日号)のを読み、はたとひざを打った。▼森林整備は、京都議定書で義務付けられた日本のCO2削減量6%のうち3・8%を吸収により担っているにもかかわらず、労務不足などではかどっていない。職をなくした人の中にも「自然の中で意義のある仕事が出来れば」と望む人は少なくないはず。今こそ帰りなんいざ、森林まさに荒れなんとすを促すチャンスだ。▼これは一例。こうした政策を臨機応変に工夫推進できるよう、現場に近い自治体にこそ、自由に使える資金を一律給付してはどうか。(E)

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