創建は柏原八幡宮と同じ万寿元年(1024年)だが、その後、幾星霜を経て宝暦6年(1756年)、後の柏原藩主3代目、織田信旧(のぶひさ)により、現在の八幡神社裏手に再建されたものである。
平成に入り、屋根や拝殿などの改修を行い、平成25年にその工事が完成した。
この神社の彫刻師について述べてみよう。柏原中井一統の4代目・言次君音が、相方の久須善兵衛政清と共に、京都での修業を経て取り組んだもので、初期にして、質量ともに最高の力量を発揮したものであり、その末裔に多大な影響を与えたと言っても過言ではない。
五社稲荷の彫り物の特徴は、竜の彫り物にあり、全部で10体もある。向拝の阿吽(あうん)の竜、木鼻(きばな)のそれが目立つ。ほかに多彩な動物の彫り物もある。
脇障子にある竜も、その立体感は特筆ものであり、5代目からが屋号として唱えた「青竜軒」の原点がここにある。
元高校教諭 岸名経夫