高野山真言宗。 創建は奈良時代の養老年間 (720年頃)、 行基菩薩による。 後に空海の真言宗となる。 綾部市でも有数の古刹である。 幾多の変遷を経て、 現在の本堂は天保3年(1832)に建立されて今に至る。 綾部市の豊里町から北上し鍛冶屋町を目指すが、 普門院にはなかなかたどり着けなかった。 山の中腹に静かに佇む名刹である。 山の霊気が感じられる。 正面本堂は雪除けもかねて、 また下の街道からも目に入るように赤色の丈夫なトタンで覆ってある。
向背に竜の彫り物がさっそく目に入ってきた。 立体感ある素晴らしい竜だ。 風化にも耐えて雄々しい姿を見せている。 ほかに彫り物を探す。 木鼻には定番の唐獅子はないが、 象の聖獣がその存在感を際立たせている。 本堂の中にも象の彫り物がある。 表の向背の竜の裏面に彫り物師の銘がある。 1830年代前半に、 柏原の中井権次正貞の弟の中井清次良正用とその相方、 久須正美による彫刻である。
元高校教諭 岸名経夫