国道9号線の兎原下を右折して川近くまで下りていく。 往時、 川が氾濫して土上げがしばしばなされた。 この神社は梅田七社の筆頭社と言われ、 他に、 辻、 高杉、 友淵、 篠山市の本郷、 藤坂、 小原に兄弟社がある。 文治5年 (1189) 創建の古社であり、 春日神と紀氏と連なる紀貫之を祭神としている。
この社の形態は春日神社と梅田神社が密着し、 並列し、 相似形をして鎮座している。 何よりも驚いたのは、 彫刻の多さと多彩さである。 左右ことごとく同じように彫り物が施されている。 阿吽の竜は言うに及ばず、 木鼻の唐獅子と獏、 特に唐獅子が宝珠を手で抱えているのは初めてのデザインだ。 ほかに、 鶴、 象、 兎、 唐獅子と牡丹、 麒麟に菊と枚挙にいとまがない。 中でも脇障子が素晴らしい。 えぐり貫いた空間が広い。 中国の神仙説話の仙人と牛と馬の像だ。 また海の生き物の貝類の姿も下部に見える。 6代目中井権次正貞の傑作である。
元高校教諭 岸名経夫