鳥取の三朝温泉にバス旅行の途次、倉吉と境港に寄った。倉吉は昔からの大きな蔵がいくつも残り、なかなかの風格。「レトロ」が売りらしく、店や医院の古い看板を集めた展示、国の重要文化財のお屋敷での講談会などがにぎわっていた。他の団体にくっついて聞いたボランティアガイドの説明は、なかなかにユーモラス。▼境港の商店街は、同地出身の漫画家、水木しげるの記念館を作り、「水木しげるロード」に変身。親子連れがぞろぞろ歩き、米屋も酒屋も自転車屋も「ゲゲゲの鬼太郎」グッズを売っている。▼「鬼太郎列車」や「妖怪人力車」まで走り、ポストも街灯も妖怪ずくめ。10年ほど前までは隣の中核都市、米子に客をとられて軒並みシャッターが閉まっていたのが、年間130万人が訪れるまでに息を吹き返し、閉まっていた店もすべて復活したとか。▼一方、東郷温泉に近い中国庭園は、雑技団の10歳くらいの女の子の奮闘ぶりが可憐だったものの、剪定のゆき届いた広い庭内は日曜なのにがらがら。「採算はとても合わないのでは」と心配しつつパンフレットを見ると、「県観光事業団管理施設」となっていた。▼丹波でも「恐竜ロード」が工夫できそうだが、行政の支援は受けつつも、やはり民間の意欲で進めないと成功はおぼつかないだろう。 (E)