NPO「アジアの新しい風」(上高子事務局長=丹波市出身)が北京の大学生を対象に実施中の読書感想文コンテストで、漱石の「三四郎」を課題図書にしていることから、審査員たちで「三四郎ツアー」をした。▼小説の舞台は東大と周辺の根津、千駄木、湯島など、普段あまり馴染みのない所。同大学院に留学中の女子学生、Kさんにガイドをしてもらい、図書館や安田講堂、三四郎池などをまわった。▼池は、三四郎がマドンナの美禰子を見初めた場所として有名になったが、周りじゅう欝蒼とした木々が生い茂り、小説の頃のようなやや開けたイメージはなくなっている。▼しかし図書館は手続きをすれば誰でも入れるし、構内を犬を連れて散歩する人や、芝生で弁当を広げる家族連れもいて、「東大」から何となく連想するいかめしい雰囲気は全くない。学生食堂で390円の唐辛子入り「赤門ラーメン」を食べた。「東大はCO2削減の先頭に立ちます」とポスターが張られ、箸は塗り箸。▼大学を後に、つつじの咲き乱れる根津神社でもらった「かいわいマップ」には、漱石、寺田寅彦はもとより、鴎外、荷風、佐藤春夫などなどの住居跡がきら星のごとくちらばっている。「春日通り」由来の春日局の墓まであって、上野の不忍池までたどりつくまでには、軽く7、8キロ歩いていた。(E)