柏原病院 医師負担軽減へ工夫

2007.09.25
丹波の地域医療特集

 県立柏原病院の検査放射線部が、 多忙な医師に少しでも働きやすい環境を提供しようと、午前8時30分までに検査結果を出す 「早朝検査システム」 を構築し、 このほど、 県立病院学会で取り組みを発表した。 入院患者の検査結果を、 医師が外来診察に出る前に届けることで、 朝のうちに指示を出せるようにし、 午後以降に集中していた業務を分散させ、 負担軽減につなげるもの。 県立病院で初めての試みで、 他病院からも注目を集めている。 (足立智和)  
検査技師16人が、 2人体制で実施。 1人は夜勤、 もう1人は、 通常午前8時45分始業のところを午前7時30分始業となるよう出勤時間を早めている。 1人が病棟を回って検体を集めている間に、 もう1人が機械を準備する。
 血を遠心分離機にかけてGOTなど肝機能の数値や血糖値を見る 「生化学検査」 と、 赤血球や白血球の数など、 血液そのものの値を分析する 「血液検査」 を行っている。
 従来の業務開始時刻では、 結果が出るのが、 医師が外来診察中の午前10時ごろで、 医師は、 午前中の外来を終えてからでなければ、 結果に基づいた入院患者の治療に対する指示が出せなかった。 外来診察前に結果が出ることで、 午後からの医師の業務集中を軽減。 指示が早まったことで、 患者にとっても治療が早まるメリットが生まれている。
 13人いた内科医が、 一時は4人にまで減少 (現在は5人)。 医師が減れば、 技師の業務量は減るものの、 残った医師の負担は増えることから、 献身的に勤務する医師に対し、 技師にできる支援をと、 同システムを考えついたという。
 同部が院内でとったアンケートでは、 医師の91%が 「診療支援につながっている」 と答えた。 また、 看護師の83%が 「看護支援につながっている」 と回答。 看護と検査の連携強化にも役立っている。
 発案者の三村仁志検査技師長は、 「医師は24時間働いている。 医師と患者のために、 検査も24時間機能するのがあるべき姿」 と言い、 学会で発表した石橋万亀朗主任検査技師は、 「医師が働きやすい環境づくりに取り組んだことに、 他病院からも関心を持ってもらった。 早出した技師は早く帰るので、 コストもかからない。 これからも、 医師に協力していく」 と話している。

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