県立柏原病院 (酒井國安院長) は17日までに、 県にへき地医療拠点病院の申請を行った。 同拠点病院の指定を受けることで、 兵庫県養成医 (へき地医療に従事することを条件に、 県が学費などを負担し養成した自治医大と兵庫医大出身医師) が、 同病院で勤務できる道筋をつける。 同病院開設者の県知事名で、 県知事に申請していることから、 指定が受けられるのは確実。 ただ、 養成医の数が28人と限られており、 全員を但馬に集めていることから、 同病院に医師が配置されるかどうかは、 未知数。 (足立智和)
へき地拠点病院は、 へき地医療機関を支援する病院。 柏原病院の場合、 丹波市立国保青垣診療所を支援することを目的に、 拠点病院を申請した。 同診療所の医師が休暇や急病、 研修などに参加する場合に柏原病院が、 代診医を派遣する。 代診医の派遣は、 そう頻繁にないため、 県が医師を配置すれば、 実質的に、 同病院の医師数増加になる。
知事が異動など人事権を持つ県養成医師は、 28人 (昨年10月1日時点)。 うち、 6人は但馬外の病院で研修しており、 初期臨床研修医 (1、 2年目の医師6人) を除いた16人が但馬の病院で勤務 (1人は研修) 中。 内訳は、 豊岡4人、 八鹿3人、 和田山、 村岡、 浜坂、 香住が各2人、 出石が1人。
県養成医は、 自治医大2人 (まれに3人)、 兵庫医大1人 (近年3人) の毎年3人から5人程度。 養成医が、 県で働く義務年限は9年。 うち1・2年目と6・7年目が 「研修」。 3―5年目と8・9年目が 「勤務」 で、 県知事がへき地拠点病院や診療所に派遣する。
県は、 これまで 「へき地でない柏原病院に養成医を派遣することは制度上難しい」 としてきた。 同病院によると、 医師派遣を巡る県との協議で、 同拠点病院の指定を受けるよう助言されたという。
養成医が集められている但馬は、 圏域内公立9病院の機能、 規模による再編に合わせ、 小規模病院で勤務していた養成医を豊岡病院組合に集約した。 医師5人で診察にあたっていた梁瀬病院 (朝来市) は2人が引きあげられ、 時間外救急診療を中止せざるを得なくなるなど、 集約された中小病院で医師不足による診療縮小が続いており、 柏原病院にどの程度の医師が配属されるかは、 不透明。
酒井院長は、 「へき地で活躍できる医師を育てたい。 是非養成医を送ってほしい」 と話している。
現時点のへき地拠点病院は、 新日鉄広畑、 豊岡病院、 八鹿病院、 香住総合病院、 県立淡路病院。
県立病院の勤務医520人 (昨年8月1日時点) は、 大半が大学医局からの派遣で、 実質的に知事に人事権がない。