氷上町中央地区自治振興会 (北野榮太郎会長) と丹波医療再生ネットワーク (里博文代表) が27日、 氷上保健センターで 「丹波の医療を考える」 と題した、 医療問題を考える講演会を開いた。 住民ら約80人が参加。 里代表が医療崩壊の原因、 背景などについて説明し、 住民がすべきことを考えた。
里代表は、 世界最長寿を支える医療を提供してきた日本の医療は、 少ない医師数と乏しい医療費で支えられてきたことをデータに基づいて紹介。 「OECD平均の医師数に追いつくまでに、 30年以上かかると言われている。 もともと医師数が少ない」 と説明した。
さらに、 ここ数年で県立柏原と柏原赤十字の2病院から去った医師の数は30人以上にのぼるとし、 現在、 両病院に残っている医師数より、 去った医師数の方が多く、 「病院というハコは残っているが、 病院1つ分の医師がいなくなっている」 と現状を伝えた。
一方、 病院再建に向けては、 内科の充実が最も重要とし、 「内科が病院の要。 他の診療科は、 内科が影で支えてくれるから診療が続けられる。 『内科を守る会』 が必要」 と述べた。
さらに、 「県立柏原病院の小児科を守る会」 の運動を引き合いに出し、 「県や市に 『何とかしてよ』 ではなく、 自分たちにできることをしよう。 医師が働ける風土を作ろう」 と呼びかけ、 ▽小児科を守る会の考えを、 地域医療全体に広げる▽健診を受け、 日ごろから健康づくりにつとめる▽友人や知人に、 医療問題の話を広げる―などを提案。 「地域住民が、 本気で医療を考える地域だけが、 医療を継続できる。 医療をなくしてからでは遅い。 なくさないようにする以外にない」 と締めくくった。
参加者の一人、 矢尾鉄男さん (同町常楽) は、 「市民意識の高揚が大切と感じた。 良い患者になるよう心がけたい」 と話していた。
同ネットでは、 同様の講演会を開く自治会や団体に講師を派遣する。 希望者は里代表 (0795・80・1201)。