覇者の驕り

2009.06.18
丹波春秋

 朝日新聞編集委員の安井孝之氏(丹波市出身)が「80年君臨『覇者の驕り』」というGM破たんの解説記事(1日号同紙)の中で、「大阪港を望む、木津川運河に面した埋め立て地に1930年代頃、GMの組み立て工場があった」と書いている。▼高速道路から見下ろしても、運送会社の倉庫や石油タンクばかりが立ち並ぶあの場所に…。当時は、日本国内の乗用車の9割以上が外国車だったという。▼そう言えば春秋子が昭和40年代初め、新聞社の社会部に配属され先輩と事件現場に向かう時、車庫にシボレーなど見るのも初めての車が何台もどーんと控えているのに面くらった。敗戦以来、ろくに日本車がなかった頃の名残と、教えられた。▼10数年前、英国でトヨタ車のタクシー運転手から「英国車は日本どころか、韓国車よりだめだよ」と嘆かれた時は半信半疑だったが、さらに時代は下り数年前、中国のある町で、銀行から出てきた着こなしのいい若い女性がホンダのコンパクト・カーに乗り込むのを見かけた時は、「中国もここまで来たか」と実感。▼今年、中国での自動車販売量が1000万台を超え、米国を抜いてトップに躍り出る(10日号日経)。無論その主役の座に米国車はいない。アジアが世界のマーケットをリードする時代が来たことを、驕らずに認識したい。(E)

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