丹波市内で救急搬送される人の2人にほぼ1人の47%が、 市外の医療機関に搬送されていることが、 市消防本部がまとめた今年上半期の市消防活動概要で分かった。 2007年と比べ、 12ポイント悪化した。 県立柏原病院の機能低下の影響が顕著に表れている。 (足立智和)
搬送人員1044人中、 市内医療機関で収容できたのは556人。 市外搬送が488人と、 ほぼ半々となっている。
市内では、 大塚病院が381人、 県立柏原が121人、 柏原赤十字が30人、 その他が24人。 丹波市から篠山市への搬送では、 兵庫医大篠山が32人、 岡本が43人、 にしき記念19人。 このほか、 共に西脇市の市立西脇に73人、 大山に129人、 三田市の三田市民に43人、 福知山市の福知山市民に63人と、 近隣市へ患者が搬送されている。
一昨年、 県立柏原の循環器内科が24時間対応ができなくなり、 さらに昨年、 脳神経外科常勤医が不在になった。 このため循環器、 脳神経系疾患患者の多くが、 西脇と三田市民に搬送されるようになり、 市外搬送の割合が増加。 さらに県立柏原が、 内科医不足により、 救急受け入れを原則水曜のみにしたことで、 救急患者の過半数を占める内科患者が、 大塚に回り、 大塚で受け入れができない分が、 市外へ。 市内で唯一、 整形外科の救急患者の受け入れを続けていた県立柏原の整形外科も6月末で撤退し、 市外搬送増加の要因となった。
脳神経外科、 整形外科の救急対応ができる病院が市内にないため、 交通事故で頭部を打った場合などは、 ほとんどが市立西脇か三田市民に搬送されている。
市消防本部は、 大塚は、 昨年1年間の受け入れ数693人を上回る年間800人ペースと見ており、 県立柏原は、 前年の654人の3分の1程度にとどまり、 柏原赤十字は前年の74人からやや増加すると見ている。
丹波市消防本部が救急搬送する患者の市外への搬送率は、 2005年までは10%以内だった。 市内救急患者の6割以上を受け入れていた県立柏原の医師減少で診療機能が失われ、 市外搬送が増加。 現在18人の同病院常勤医が40人を超えていた2005年は、 年間1200人程度の患者を受け入れていた。