県柏原病院再生プラン 早くもつまずく

2008.09.08
丹波の地域医療特集

 県立柏原病院再生対策本部 (本部長=黒田進県病院事業管理者) の 「再生プラン」 に基づく他の県立病院からの応援医の派遣が、 事業開始2週間目にして早くも途切れた。 9月の応援医の充足率は、 4割弱。 県病院局は、 「命令ではなく、 手をあげる方式で応援医を募っている。 穴があくこともあるが、 これまでなかった県立病院間で医師を派遣する仕組みができ、 始まったことを評価してほしい」 と意義を強調する。 一方、 現場の医師たちは、 「応援医が来なかった場合に代わりを立てるのが難しい」 として、 応援医の有無にかかわらず、 これまで通りの当直体制をとることを確認した。 (足立智和)
 県は、 柏原病院の医師の負担軽減と、 救急患者の受け入れ増をめざし、 火曜と水曜に原則各2人ずつ他の県立病院から医師を派遣する仕組みを設けた。 拘束時間は、 19時から翌朝まで。 当直料や超過勤務手当は、 応援医が自らの勤務先で当直した場合と同じ待遇で、 柏原応援料は1回7000円。
 火曜は、 院内入院患者に対応する管理当直、 救急輪番当番日の水曜は、 当直担当として、 外部からの患者の受け入れに備えるシステム。
 事業が始まった1週目の8月27日は1人、 28日は2人の応援があったが、 2週目の9月3、 4の両日は、 応援がなかった。 県病院局は、 「前日の9月2日まで派遣を要請し、 努力したが、 かなわなかった」 と釈明する。
 9月で応援医が予定されているのは、 9日と10日に尼崎病院から各1人、 16日が加古川から2人、 17日が西宮から2人、 24日が西宮から1人。 2、 3、 23、 30日は、 0人。 応援医枠18に対し、 充足は7にとどまっている。
 県病院局は、 「できるだけ充足させたいが、 事務職と違って、 上意下達という訳にはいかない。 声をかけ、 お願いするが、 埋まらないこともある」 と話している。
 応援医の派遣をめぐっては、 当直応援医が夜間に患者を受け入れても、 その医師が帰った後、 患者の診察を継続できるマンパワーがないとして、 柏原病院は、 日中と夜の応援をセットにし、 応援医だけで完結できる体制づくりを要望した。 しかし、 もともと医師数に余裕がなかったり、 院内事情などにより、 現時点では日中の応援医派遣は困難との結論に至り、 夜だけの応援制度が始まった。
 制度ができた当初から、 柏原病院の現場からは、 「応援に来る医師のメリットがない。 本当に応援が来るのか」「中途半端な制度で、 患者の受け入れ増加にも、 負担軽減にもならない」 と実効性を疑問視する声があがっていた。
 酒井國安同病院長は、 「再生プランの中で、 県ができそう、 手をつけやすいと考えた所から手をつけたはずなのに、 早くもつまずいている。 プランは実現できるのか」 と、 不安な心情をのぞかせた。

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