県立柏原病院は11日、 10月1日付で神戸大学から同病院に医師3人が派遣されると発表した。 外科、 整形外科、 放射線科各1人。 県と市が費用を負担する 「地域医療循環型人材育成プログラム」 の1つ。 5人の枠を設けているが、 現時点では集まらず、 定員に2人満たないまま事業が始まる。
外科は4人が5人に、 整形外科、 放射線科は常勤医0だったのが、 各1人になる。 外科医は消化器系がんの手術などを担当する。 7月から休診中の整形外科は、 診療日数などを調整し、 外来を再開する。 入院、 手術は行わない。 放射線科は、 検査写真の読影や造影検査、 血管治療の一部を担う。
外科は、 4月から7人が4人に、 3人だった整形外科は4月に2人、 7月に1人が引きあげになり、休診中。放射線科は一昨年の前院長退職後から常勤医不在になっていた。
常勤医師数20人は、 今年4月の医師数の水準。
【解説】内科医招へい課題残る
「地域医療循環型人材育成プログラム」。 外科医はひと息つけ、 整形外科の再開は、 リハビリの受け入れにつながる。 読影の専門家による診断は、 現場から大いに歓迎される。 患者は、 恩恵を享受できる。
しかし、 柏原病院最大の課題・内科医の増員という課題が残った。 神戸大学自体が内科医不足で、 出せる人材がなかなかいない。 大学に依頼するしかない県と市は、 敬意を持って最大限の誠意を示すべきだ。
内科医が10人だった4年前に約3万7000人だった同科入院患者は、 医師が5人になった昨年は約1万1000人。 減少著しいが、 なお、 全診療科で最多だった。
他科が充実しても、 診療の入り口であり、 病院の柱である内科医が増えなければ、 患者は増えない。 今いる医師が疲れて去る前に、 内科医を増やす。 残り2枠に内科医の参加が得られなければ、 プログラムの頓挫のみならず、 病院再生への努力も水泡に帰しかねない。 (足立智和)