地域の医療問題を自分や家族の問題として捉えてもらおうと、 丹波医療再生ネットワーク (里博文代表) が作成した啓発ドラマ 「今ここであなたが倒れたら」 が9月28日、 春日文化ホールで開かれた 「市健康まつり」 で初上映された。 どこの家庭でも起こり得る物語に、 観客たちは見入っていた。 作品は、 希望者に配布し、 広く医療問題を考えてもらう。 (足立智和)
出演者、 脚本、 撮影など、 丹波市民手作りの15分ドラマ。 祖父母と30歳代の夫婦、 2人の子どもの6人暮らしの家庭が舞台。 脳疾患で倒れた祖父の看病などが契機になり、 平和だった家族の暮らしが一変する物語。 空気や水と同じように、 あるのが当たり前と考えていた医療について、 失って初めて大切さに気付く主人公の心境をリアルに表現している。
劇中、 祖父役をつとめた劇団 「くろまめ」 元団員の山本寛さん (柏原町北中・享年67) は、 9月2日に肺がんのため、 神戸市内で死去。 ドラマの最後には、 撮影の合間にピアノを弾く山本さんの生前の姿も収めている。
上映に先立ち、 脚本を担当した和久雅彦さん (氷上町成松) があいさつ。 山本さんの死や、 正月に吐血した父親を車で県立柏原病院に運び、 一命を取りとめ、 8年間、 親孝行ができた実体験を紹介。 「ここに医療があったおかげ。 当事者にならないと医療が失われることへの実感がわかないが、 想像力を働かせて」 と思いを語った。
また、 丹波地域は、 小児科を守る会の活動などで、 全国の地域医療に携わる人たちから医療再生の希望の灯と注目されていることに触れ、 「全国の地域医療を守るためにも、 このともしびを消してはいけない。 医師が勤務しようと思う風土が作れれば、 神戸からいくつかの山を越え、 全国の医師が丹波を目指すことは十分可能。 ドラマは、 何の答えも示していない。 みなさんの中で議論が起こることを期待する」 と結んだ。
鑑賞した加藤せつ子さん (春日町黒井) は、 「手間と時間、 費用をかけて作られた労に頭が下がる。 私たち自身も自分なりに考えなければいけないと感じた」 と感想を話していた。
上映希望者は、 里皮フ科クリニック (0795・80・1201)。