県が神戸大学に委託し、 県立柏原病院などをフィールドに実施する 「地域医療連携推進事業」 の概要が10日、 明らかになった。 同大の特命教授3人が、 同病院で週1、 2度勤務し、 若手医師を育成する方法や地域医療機関の連携のあり方などを検討する。 教授は週1、 2回外来診療も行う。 地域医療循環型人材育成プログラムの2人の欠員も、 内科医師2人が同大附属病院から派遣される。 県と大学は、 同事業実施で丹波地域2市でつくる丹波医療圏を再生し、 それを弾みに県内他地域に同様の取り組みを広げることを視野に入れている。 柏原病院で行う同事業は、 県と大学が連携し、 地域医療を支援する新しい仕組みの試金石となる。
赴任する教授は3人。 消化器内科、 循環器内科、 消化器外科を予定。 発令は、 4月1日付け人事。
同大は、 同事業に取り組むため、 同大大学院の医学研究科を改組。 新たに 「地域社会医学・健康科学講座」 を設ける。 この中に、 「総合臨床教育・育成学」 「地域医療ネットワーク」 などの分野を設け、 新たに特命教授を置く。 これら特命教授が、 柏原病院で研究と、 外来の診療支援を行う。
教授を同病院に派遣することで、 同大から派遣される若手の医師をサポートし、 若手の医師が赴任する 「教育環境」 が整った病院づくりに役立てる。 外来診療も一部を担うことで、 少しでも、 紹介患者の受け入れ数の増加につなげる。
また、 柏原赤十字、 兵庫医大篠山病院、 地元医師会らと話し合い、 地域の医療連携、 最適化について研究する。 着任後、 早々から精力的に研究を行い、 できる限り早い時期に議論の叩き台をまとめる意向。
循環型プログラムによって着任する常勤の内科医は、 消化器、 循環器の各1人。 2人の着任で、 同病院の常勤医師数は、 内科6 (循環器3、 消化器3)、 外科5、 小児科5、 産婦人科3、 整形外科11、 放射線科1の21人。 昨年4月とほぼ同水準の人数になる。
これまで同大は、 内科医の派遣は難しいとしていたが、 高井義美同大大学院医学研究科長は、 「地域医療連携推進事業によって教授も柏原へ行き、 若手医師をサポートするシステムができた」 と話している。
県は、 地域医療連携推進事業に3000万円を予算化。 県と市は、 医師5人を同大から派遣してもらう 「循環型プログラム」 に1億5750万円を予算化している。