小児科を守る会の2年「各地の団体と交流」

2009.04.30
丹波の地域医療特集

  「子育て中のママさん世代が、 知識でなく、 知恵を出している。 男では気づかない知恵が取り組みに出ている」。 奈良県生駒市の 「生駒の地域医療を育てる会」 会員の今江勝彦さんは言う。 「病院に行く、 その前に」 の生駒版3000冊を守る会に作成してもらい、 市内の幼稚園、 保育園で勉強会を開こうと準備を進めている。
 守る会に触発された 「地域医療を支える取り組み」 が、 各地で始まっている。 守る会も他グループとの交流を活動の糧にしている。
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 小樽、 紋別、 羅臼、 苫前…。 北海道内の30以上の市議会、 町議会議員約100人が加入している 「地域医療を守る地方議員連盟」。 守る会の取り組みを地元病院の医師から聞いた、 当時の上富良野町議・金子益三さんの呼びかけで昨年4月に発足、 自主的に勉強会を開いている。 「不勉強な議員が、 病院経営も医療現場の苦しみも理解せず、 クレーマー化している議会がある。 柏原の主婦の動きを知り、 住民の代表としてじっとしていられなくなった」 と振り返る。
 島根県西部、 山口県との県境に近い益田市。 昨年末、 活動を始めた 「益田の地域医療を守る市民の会」 が主催する初めてのシンポジウムが26日にあり、 200人が参加した。 市民の会を仕掛けたのは、 同市議会の地域医療対策特別委員会。 同市議会は昨年、 守る会を参考に市内スーパーで 「コンビニ受診は控えて」 とチラシを配り、 医療資源が乏しい実態を市民に説明する出前講座を催した。
 特別委員会委員長の石田米治さんは、 「市民と問題を共有し、 共通認識を持つことの大切さを守る会から学んだ。 市民に会を動かしてもらえれば」 と期待を寄せる。
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  「市立西脇病院の小児科を守る会」 代表の村井さおりさんら4人が28日、 4月から新たに同病院小児科に赴任した医師に初めて面会した。 運動をはじめ1年。 知れば知るほど小児医療を取り巻く環境は厳しく、 招へいは難しいと思っていただけに喜びもひとしおだ。 「何かあった時に、 『教えて』 と気軽に相談できる。 いいお姉さんが近くにいてくれて、 助かっている」 と声を弾ませる。 柏原の守る会も、 妹から学んでいる。 「ママのおしゃべり救急箱」 は、 西脇の 「スタディーママ」 を焼き直したものだ。
 姉にあたるのが、 千葉県東金市のNPO法人 「地域医療を育てる会」。 理事長の藤本晴枝さんが、 守る会をモデルに昨年発行した絵本 「くま先生のSOS」 は、 5000部近く売れた。 守る会は、 「くま先生」 の紙芝居を手作りしている。 画用紙の表にカラーコピーした絵を、 裏側にストーリーをのりで1枚1枚はっている。 出来上がり次第、 市内全ての保育園と幼稚園に寄贈する計画だ。

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