柏原病院の赤字15億円 昨年度の経営状況

2009.10.06
丹波の地域医療特集

 県立柏原病院は、 2008年度の経営状況を発表した。 収支は、 07年度と同額のマイナス15億5600万円だった。 12ある県立病院のうち最大で、 県立病院全体の赤字額40億300万円のうち、 4割近くを占めた。 一方、 提供している医療の質の目安となる患者1人あたりの入院単価は3万9675円と過去5年間で最も高くなっており、 医療の質自体は、 水準を維持している。
 収益17億1700万円に対し、 費用は37億9000万円。 差し引き損益は20億7300万円となるが、 一般会計からの繰り入れが5億1700万円あり、 純損益は07年度と同額になった。 県の病院改革プランでも、 08年度は同額の赤字を見込んでおり、 想定通りの数字。 今年度は、 約6億円の赤字圧縮を目標にしている。
 08年度は、 稼動病床数を146床に減らした。 診療の柱の内科医が増えず、 医師の減少がさらに進み、 20人前後に落ち込んだ。 泌尿器科、 眼科の常勤医が不在になり、 入院を休止。 このため、 入院患者数が2万6697人と対前年度比約46%減り、 これに伴い、 入院収益も10億5900万円と約46%減った。 外来患者数も約26%減。
 費用は、 同病院の赤字の最大要因となっている給与費が6億6000万円減り、 26億5800万円。 医業によって得られる収入で人件費を割って求める人権費比率は160% (昨年度は120%)とさらに悪化。 また、 患者減や後発医薬品への切り替えで、 材料費も2億6300万円減った。
 県立病院で黒字を計上したのは、 尼崎 (1億7000万円)、 こども (4000万円)、 姫路循環器病センター (1億7500万円)、 災害医療センター (3200万円) の4病院だった。
 06年度、 07年度とも全国の4分の3の自治体病院が赤字。 不採算部門を担う使命のほか、 医師の 「公立病院離れ」 が進む一方で、 民間病院より高水準にある医師以外の職員人件費の抑制ができない負のスパイラルに陥り、 銚子市立病院 (千葉県)、 松原市民病院 (大阪府) のように、 病院が閉鎖に追い込まれるところが出てきている。 三木市でも、 三木市民病院の経営不振が原因で 「経営健全化団体」 に陥っている。   (足立智和)

関連記事