前の新聞社勤務時代から少なからぬ国会・地方議員と接触したが、いつも違和感を感じたのは、彼らが互いに「先生」と呼び合い、役人やふだん付き合っている政治部記者たちにもそう呼ばせていることだった。▼なるべく「さん」付けで呼ぶことにしていた筆者などには、「だから社会部記者には話が出来んのだ」と言わんばかりにいやな顔をする議員もいて、居心地の悪い思いにさせられたりした。先日のテレビの総選挙を控えての各党座談会でも、やたら「先生」を連発する党幹部がいて、「一体あなたは国民の目線で政策を考えているの?」と聞きたくなった。▼最近は役人の国会答弁で「先生」でなく「委員」という呼び方も目立つようになったが、まだまだ「先生」が幅をきかせているようだ。教師は勿論、医者も弁護士もしたことのない筆者は、何かで「先生」と呼ばれたりすると、却って馬鹿にされているように感じるが、議員さんたちの感覚は違うのだろうか。▼もうひとつ言えば、閣僚が「総理はこのようにおっしゃっています」、党のトップが「その点は幹事長にお任せしています」などと、第三者に身内のことを敬語を使って話すのも、世間の常識とはだいぶずれている。政治の改革はこういうところからも進めてほしい。決して枝葉末節の話ではない。 (E)