登頂回数は驚異の7000回超 国史跡登り23年の「仙人」

2023.07.11
たんばの世間遺産地域

黒井城跡に7000回以上登頂している瀧さん。野生の熊よけの鈴も携帯して登る=兵庫県丹波市春日町多利で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、丹波市春日町黒井にある国指定史跡・黒井城跡(標高356メートル)にほぼ毎日登り続け、23年になる瀧俊和さん(85)=同町多利=です。

登頂回数は7月10日時点で7314回に及ぶ。のめり込んだきっかけは「人との出会い」。年齢を感じさせない若々しさで登山する姿に、登山仲間たちからは「仙人」と呼ばれているという。

元々、はるばる国内外の名山に足を運ぶほどの登山好き。タクシー運転手を退職後、62歳の時に、10歳ほど年下で毎日のように黒井城跡に登る友人に感化され、「近くにあって登りやすいから」と登り始めた。

瀧さんが登り始めるのは大体、昼食後。お笑いや歌の番組が好きな「テレビっ子」で、就寝時間は午前零時近くになる。睡眠時間は8時間。「NHKの朝の連続テレビ小説も見たい」

同城跡では、北は北海道、南は九州まで、いろんな人と出会った。時には台湾から来た人も。横浜の中華料理人と出会い、著書が送られてきたり、年賀状のやり取りをしたりするほどの関係になった。道中で体調を崩し、途方に暮れていた人を見つけて警察へ通報したこともあった。

同城跡の登山ガイドを担う地元グループにも入会。感想を書いてもらったノートは保管し続け、道中で出会った人の名前もメモしている。

よほどの悪天候や、けがをしているときなどでない限り、ほぼ毎日登る。「元気の源。人と会ってしゃべることで認知症防止にもなっている。ご飯もおいしい」と笑う。「登っていると心が落ち着く。生きがい。死ぬまで登り続けたい」と頬をゆるませた。

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