兵庫県丹波市のプラスチック部品製造業「土田化学」の土田翔大さん(28)が、同県が今年度から始めた若手後継者らを対象にした新規事業開発支援プログラム「ひょうごベンチャー型事業承継プログラム『HOJO』」に採択された。5年後、10年後を見据え、自社の経営資源を生かして新規事業を立ち上げたり、本業を変革させる挑戦を支援したりするもので、農薬メーカーに勤務経験がある土田さんは、家業を生かして獣害被害を軽減する製品の開発に臨む。土田さんは「新規、既存事業の両輪が回ってこそ、次につながる。丹波市の農家の役に立ち、会社にとってもプラスになれるようにしたい」と話している。
現社長の光一さんの長男で、2021年にUターンして家業に携わっている。
同プログラムは、これまでのやり方が通用しない時代に、会社の強みを見極め、新たな市場に打って出る39歳以下の若手後継者らを支援するもの。事業開発から事業化までをサポートしたり、事業化に伴う経費を上限150万円で補助したりする。土田さんを含め、県内の10人が採択を受けた。
食に関心があった土田さんは大学卒業後、鳥取県の農薬メーカーに4年間勤務。光一さんと連絡を取り合う中で、家業の成長に力を注ぎたい思いと、恩返しをしたい気持ちが強まり、帰郷した。前職で得た経験やコネクション、地元の農家を悩ませる獣害被害の解決に家業を生かせないかと考え、同プログラムに応募。プレゼンを経て採択された。
当初、ドローンの開発を検討したが、クリアすべき課題が多く、現在はアイデアを練り直している。「イノシシやシカなどの五感に刺激を与えるようなものを検討している。研究機関や農家とも相談したい」と意気込む。
年内に試作品を作り、効果を検証する計画。土田さんは「共に働く社員も協力すると言ってくれてありがたい」と話している。