シルバーエコーささやまのウィーン訪問の帰途寄ったザルツブルクがあまりに美しかったので、この町を舞台にした映画「サウンド・オブ・ミュージック」のDVDを借りてきた。▼初公開の時は大学生だった。非の打ち所のない教科書のように思え、それに音楽がいつもどこかで聞けるので、その後は全くご無沙汰。今回レンタルするのも気恥ずかしかったが、でもやはり、不朽の名作だ。▼ストーリーも大筋以外は忘れていたが、ジュリー・アンドリュース扮する家庭教師のマリアに、主人のトラップ大佐が婚約者との話を解消した後、愛を打ち明けるシーンが実に美しい。一度は修道院に戻っていたマリアはまるでシンデレラ。しかし悪びれもせず、かつ控えめな仕草が可憐だ。▼出てくる歌はみな知っているつもりだったが、この場面だけに登場する「サムシング グッド(何か良いこと)」は全く記憶がなかった。「みじめだった私だけれど、きっと過去のどこかで良いことをしたのでしょう。無からは何も生まれないもの」という歌詞で、一般にもまず歌われていない。▼トラップ一家がナチの手からスイスに逃れる前夜、音楽祭で「エーデルワイス」を歌う場面には涙ぐんでしまった。我が合唱団もウィーンで歌ったが、ただ何となく歌っていたのが恥ずかしくなった。(E)