山南町上滝で発見された丹波竜化石を教育現場に生かそうと、 丹波市内の小学校理科担当教諭らでつくる研究部会と市教育委員会が、 小学6年生を対象にした地学教材 「丹波竜―恐竜化石から学ぶ」 をつくった。 丹波竜という市の財産を生かし、 地元の理科の先生たちの知恵を結集した教材が、 児童たちを地学の世界へ導く。
6年生は理科の授業で、 地学の単元 「大地をさぐる」 を学ぶが、 現在使用している教科書には、 福井県勝山市で発見された恐竜化石 「フクイリュウ」 が取り上げられ、 研究が途上の丹波竜が登場するのはまだ先の話。 そこで 「市内で発見された超一級の資料を教育に生かそう」 と部会の教諭らが立ち上がった。
教材は4ページだてで、 丹波竜化石の発掘状況や、 これまでに見つかった化石の写真、 全身の骨格予想図、 発見者の声などを盛り込んだ。 また、 マスコットキャラクターの 「ちーたん」 を各所に配置。 「化石が大地にうまっているのはなぜかな?」 「どんな恐竜だったのかな?」 などの吹き出しが付いており、 児童らの想像力を駆り立てる内容になっている。
また、 地球誕生から現在までの46億年を1年間のカレンダーにした 「地球カレンダー」 を掲載。 12月20日ごろに丹波竜が出現し、 同月31日に人類が誕生したと考えられるなど、 悠久の時を考える仕掛けをつくっている。
部会は、 市内25小学校の理科担当教諭と代表校長、 教頭27人で構成。 教材に盛り込む内容やレイアウト、 丹波竜を授業のどの場面で、 どのように使うかなどの議論を進め、 ここにしかない教材をつくり上げた。 研究の進展状況によって、 随時内容を改訂する予定。
「総合的な学習の時間」 でも、 丹波竜を活用してもらおうと、 市教委は独自で教員向けの学習指導例 「恐竜ミュージアムをつくろう」 を制作。 「調べて、 まとめて、 発表する」 という授業の中で、 丹波竜をどのように学習に取り入れるかの例を紹介している。
また、 中学1年生の授業でも地学があるため、 「市中学校理科部会」 の教諭らが、 中学校用の丹波竜を盛り込んだ地学教材を制作している。
市教委は、 「身近な自然教材は既存の教科書を上回る。 丹波竜教材を通し、 地学に興味を持ち、 子どもたちの心の中に 『丹波』 が残ってくれれば」 と言い、 「化石の発見以来、 市外の学校からも、 『丹波で学習したい』 という声を聞く。 市内には発見現場だけでなく、 地学学習のポイントとなる場所が多くあり、 丹波に来れば、 地学の勉強ができるという土地にしていきたい。 市外の学校を丹波に呼び込むことで、 地域の活性化にもつながるのでは」 と話している。
部会の代表校長を務めた荻野莊一大路小校長は、 「丹波竜教材は、 子どもたちに夢とロマンをわき立たせてくれると、期待している」 と話している。