県立人と自然の博物館は18日、 山南町上滝の白亜紀前期の地層 「篠山層群下部層」 (1億4000万年前―1億2000万年前) から出土した岩石の中に、 化石化した卵の殻のかけらが密集して見つかったと発表した。 生物の種類は特定できていないが、 恐竜の可能性もある。 恐竜の卵は石川県など、 他の現場でも発見されているが、 いずれもかけらが数点という状況。 今回は少なくとも1個分の全体像は復元できるかけらがそろっており、 恐竜だった場合、 日本で初の復元となる。
卵の化石は、 大きいもので長さ約1センチ、 幅約0・5センチ、 厚さ約0・3ミリ。 岩石の表面に10点以上のかけらがちらばっており、 内部にもさらに複数点あるとみられる。
かけらの大きさから復元した場合は長径2、 3センチのだ円形になると予想され、 ウズラの卵ほどの大きさ。 中に入っていた生物は見つかっておらず、 ふ化した後の可能性もあるという。
同博物館が昨年3月まで行っていた 「丹波竜化石第3次発掘調査」 で出た岩石を調査していた作業員が発見した。
同博物館の三枝春生主任研究員によると、 恐竜の卵のほか、 カメや鳥類の可能性もあるという。 今後、 断面の組織の構造を調べ、 種の特定を行う予定。
壊れやすい卵のかけらが密集して見つかったことで、 三枝研究員は、 「丹波竜化石発見現場は恐竜などの生物が卵を産む環境にあった」 と分析。 また、 「現場付近に強い濁流が起きた可能性は少なく、 発見されていない丹波竜化石の部位も周辺にある確率が高くなった」 と話していた。
写真 発見された卵の殻の化石