青垣町出身の足立知謙(とものり)さんのコンサートを聴きに、やまなみホールへ。俳人の父、幸信さんが丹波カルチャーセンターの講師をしておられ、切符をさばくのを少し手伝ったのだが、会場は超満員。当日券を求める人が長い列を作っていた。▼ピアノを弾き、「あの雲のむこう」、「木洩れ日の庭」等、自身で作ったきれいな旋律ばかり。木場大輔さんの胡弓と不思議に融合し、ゲストボーカルの三田裕子さんも個性的だった。「木場」「足立」を組み合わせた「Kodachi」のネームで、成田空港のロビーや高知城など全国各地で演奏しているという。▼知謙さんは7年ほど小学校教師を勤めた後、音楽ひとすじで生きようと決めて転進。両親は大反対だったそうだが、今では熱心なファンに。やはりこれだけの才能があってこそ、と納得した。▼「皆さんは『丹波』からどういうイメージを思い浮かべますか」と問いかけられ、「さて、自分の場合は…」と考えこんだ。なかなかのナイスガイだが、顔や姿だけでなく、ちょっとした仕草まで父親に似ている。やや照れた話しぶりで、「丹波に帰ってくると、本当に良い所だと思う」と話すうち、感極まって涙ぐんだのが初々しかった。▼ボーカルを定着させ、いま少し磨けば、紅白出場のチャンスも掴めるかもしれない。(E)