兵庫県立篠山産業高校機械工学科3年の松本倖哉さんと松田翔空さんが、高校生では同県初となる難関国家資格「機械加工マシニングセンタ作業2級」に合格した。二人は、受験勉強の指導や支援にあたった教師や両親に感謝し、今回の受験勉強で培った努力と挑戦心を生かして、「この先もさらなる難関資格に挑んでいきたい」と躍進を誓っている。
マシニングセンタは、プログラミングによりコンピューターを制御して、フライス・穴あけ・中ぐりといった多様な切削加工を金属などに自動で施すことができる工作機械のこと。
同作業2級試験は、同作業3級取得者が受験でき、筆記と実技の試験があった。筆記は、金属の引張強さや衝撃強度、機械や工具の使用用途などの計50問を○×や4者択一で答えた。
実技は、3級試験で実際にマシニングセンタを的確に動作させることをクリアしているため、2級試験では機械を動かすことはせず、加工された部材を見て触って、どのような切削工具を用いて加工されたのかを見極めたり、部材に開けられた穴の深さや直径をシリンダーゲージやデプスマイクロメータなどの計測機器を使って寸法を測ったりした。ほかにも、切削工具が破損したイラストからその原因と対策を考える問いや、図面を見て、使用する工具の選択と、どのような工程で加工すればよいかを答える問題が出題された。
二人は放課後だけでなく休日も筆記試験対策の勉強会や実技試験対策の練習会に積極的に取り組み、合格を目指した。
特殊車両を開発・製造している企業に就職を決めている松本さんは、「誰も挑戦していないことをやりたかった。これからの切削加工は自動制御のマシニングが主流になるので、この資格を生かせたら」と言い、「まだ1級、特級と上位があるので、さらなる高みを目指して挑戦し続けたい」と力強く語った。
2級ガソリン自動車整備士の取得を目指して進学する松田さんは、「先生の後押しもあり、シルバージュニアマイスター顕彰が欲しくて2級に挑戦した」と笑い、「合格を決めたとき、両親も先生もすごく喜んでくれて、僕も体が震えるほどうれしかった。達成感でいっぱい」とほほ笑んだ。
同科は4年前から技能検定の資格取得に力を入れており、県内高校で3台しかない最新の5軸マシニングセンタを導入するなど設備を整えたり、生徒の「検定に挑戦したい」という気持ちを細やかにバックアップしたりし、県内工業高校中、最も多い4つの技能検定の受験を可能にしている。これらの取り組みが功を奏し、今年度、技能検定に合格した「技能士」は延べ79人に上った。