母と子

2011.05.07
丹波春秋

 赤ん坊は、自分の母親のお乳の匂いと、そうでないお乳の匂いを区別することができるという。この2つのお乳の匂いをしみこませたガーゼを、赤ん坊の左右両側に置いてみる。すると、赤ん坊は母親のお乳がしみたガーゼに向かって這っていくらしい。▼生後1カ月の赤ん坊でさえ区別できるというから、母と子のつながりの深さを思わずにいられない。母親の胎内に宿った赤ん坊。この生命同士のつながりだろうか。▼赤ん坊が、お乳を求めたり、おしめの交換を求めて泣き分けるのも、母親とのつながりの中で生まれるという説がある。その説によると、母親は、赤ん坊が泣き声を通して何を伝えたいのかを理解しようとし、お乳を与えたり、おしめを交換したりする。その母親の対応に応じて、赤ん坊は、こういう泣き方をすればお乳を与えてくれると学び、泣き分けるようになるというのだ。▼相手の対応を見て泣き分ける。これは対人関係の始まりであり、社会性の芽生えでもある。赤ん坊が人として成長していく上で、母親とのつながりは、まぎれもなく最大の出発点だ。母と子が愛情豊かにつながることを願わずにいられない。▼「母」という字は、子どもを産んだ女性を表したもの。それを思うと、きょう「母の日」は「母子の日」とも言える。(Y)

 

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