令和8年(2026)は、昭和元年(1926)から数えて満100年。戦後復興、高度経済成長などにおける、さまざまな出来事の中で日本が大きく発展した昭和の時代。一方、「平成」「令和」と時が流れるにつれ、古き良き時代というような懐かしさも込めて「昭和」が使われることが散見されるようになった。そこで、「楽しかった昭和」にスポットを当て、当時の“アルバム”の一部をひもといた。時代の再発見と、輝かしい未来につながることを期待して。
兵庫県丹波篠山市西町の今村俊明さん(76)宅は、かつて「ハトヤ書店」の屋号で営業した元貸し本屋。大相撲に平凡スタアクラブ、近代映画、赤胴鈴之助―。人々が読みふけった本が大切に残されている。
貸し本は昭和を代表する娯楽文化の一つ。当時はまだ書籍が高価だったため、安い料金で本を借りられる貸し本は、地域住民にとって大きな楽しみだった。
ハトヤ書店は今村さんの祖母、すゑさんが切り盛り。「篠山焼」を生み出した名陶工、今村静斎(親子2代)の没後、今村さんら家族を養うために始めた事業で、昭和30年代初めから40年代まで営業し、多くの人でにぎわった。
長嶋茂雄、美空ひばりに田代百合子、池部良、鶴田浩二。表紙には生き生きとした表情の昭和のスターたちが並ぶ。次々と雑誌を指さし、「これ誰か分かります?」「子ども向けの雑誌に付いていた付録をもらえるのが、貸し本屋の子の特権」などと話す今村さんも楽しそう。「店にはいつも近所のおばあちゃんたちが集まり、祖母と世間話をしていた。昼食で一度家に帰って、昼寝をした後にまた集まって。今とは全然違う時間の流れだった」。脳裏には古き良き昭和の光景が鮮やかによみがえる。
昭和の西町は、「西町銀座」と呼ばれ、たくさんの店と通りを埋めるほどの人でにぎわっていた。肉屋に八百屋、理髪店、文具店など、生活のすべてが身近な地域で事足りた。
「あの頃はミニマムでマルチな社会。今は、世界が広がった一方で、地域は人もお店も少なくなった。今も良いことはあるけれど、やっぱり昭和が懐かしい」と今村さん。ギャラリー「陶々菴(とうとうあん)」として建物を活用していることから、「いつか、昭和にフォーカスを当てた展示もしてみたい」と話している。



























